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個別進学塾教匠平木のブログです

by kyosyo-hiraki

今週の和歌「五月来ば鳴きも古りなむほととぎすまだしきほどの声を聞かばや」

 こんにちは、個別進学塾教匠講師の平木です。ゴールデンウィークも明け、少し汗ばんでしまうような日が多くなってきました。もうすぐにでも夏がやってきそうな陽気を感じます。今回はそのような時期に詠まれた和歌を紹介したいと思います。

五月来ば 鳴きも古りなむ ほととぎす まだしきほどの 声を聞かばや
(古今集・夏歌・138)

 「五月が来たならば、鳴き声も聞き慣れるだろう、ホトトギスよ。未熟で初々しい時の声を(五月になっても)聞きたいものだ」というのが大まかな解釈になります。この和歌は平安時代の歌人で、三十六歌仙の一人である伊勢が詠んだものです。

 ちなみに、和歌中の「五月(さつき)」は現代の暦で言うと大体6月くらいの時期です。昔の日本で使われていた暦は、現代使われているものとは別ですので、古文で月の表記があった際は、現代の季節の感覚で捉えないように注意しましょう。

 この和歌の文法的ポイントは「ばや
ばや」は希望の意味を持つ終助詞で「~たい」と訳します。接続助詞「ば」+係助詞「や」と間違えやすいので、以下の点に注意して識別しましょう。
① 終助詞「ばや」は未然形接続
接続助詞「ば」は已然形に接続し、「~ので」などの訳を取ります。ただし、「ば」には未然形に接続する「もし~ならば」の意味を持つものもあります。「ばや」の前が未然形の場合は、以下の②に注目しましょう。
② 終助詞「ばや」は文末に用いる
「ばや」に限らず、終助詞は原則として文末に用いられます。それに対し、「ば」+「や」の場合、係助詞「や」が「文末を連体形にする」役割をもっていますので、その後に文が続きます。
今回の和歌の場合、① 直前は未然形、② 文末に用いられている、という点に着目すると、終助詞「ばや」であることが明らかになります。

 新年度が始まってからあっという間に1か月が経ち、学校によっては今週・来週に中間テストが迫ってきています。特に中学・高校1年生はその学校での初めての定期テストになりますので、良いスタートダッシュを切れるよう、しっかり勉強の計画を立ててテストに臨みましょう。

 Hiraki


by kyosyo-hiraki | 2019-05-08 10:00 | 和歌