今週の和歌「梅の花咲きて散りなば桜花継ぎて咲くべくなりにてあらずや」
2019年 04月 10日 こんにちは、個別進学塾教匠講師の平木です。新年度も始まり、たまに肌寒く感じる日もありますが、気候はすっかり春めいてきました。今回は、初春に関連する和歌を紹介したいと思います。
梅の花 咲きて散りなば 桜花 継ぎて咲くべく なりにてあらずや
(万葉集・巻5・829)
「梅の花が咲いて、そして散ったならば、桜の花がそれに続いて咲きそうになっているではないか」というのが大まかな解釈です。この歌は、大伴旅人の邸宅で行われた宴会で詠まれた「梅花の歌」の一つです。
「梅花の歌」の序文は、新しい元号の「令和」の由来となったことで有名です。「梅花の歌」では、詠まれた三十二首の歌に「梅」が含まれていますが、この歌は桜の花もあわせて詠まれており、色鮮やかな様子が目に浮かびます。
この和歌の文法的ポイントは「ば」
古典文法には以下の2種類の「ば」が存在し、その意味が大きく異なるので、正しく見分ける必要があります。
① 未然形 + 「ば」… 順接仮定条件(もし~ならば)
② 已然形 + 「ば」… 順接確定条件(~ので/~すると/~すると必ず)
これらを取り違えると、実際にその動作をしたのかしてないのか、意味が逆転してしまいます。「ば」を見つけたら、必ず直前の語の活用形を確認しましょう。なお、今回の和歌では、「ば」の直前が、完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」ですので、①「もし~ならば」の意味で用いられています。
「令和」の発表から、万葉集や和歌に興味をもった人も多いと思います。和歌を観賞するにあたって、古典文法を理解できているとより深く理解ができます。高校1年生はこれから古典文法の勉強が始まりますが、学習する一つ一つの文法をしっかり理解することを心掛けて勉強に臨んでほしいです。
Hiraki
by kyosyo-hiraki
| 2019-04-10 10:00
| 和歌