個別進学塾教匠平木のブログです

by kyosyo-hiraki

今週の和歌「花鳥のあかぬ別れに春暮れて今朝よりむかふ夏山の色」

 こんにちは、個別進学塾教匠講師の平木です。気候の方もすっかり暖かくなり、春になったばかりだと思っていたのに、もう夏を思わせるような気候になりつつあります。今回はそんな季節を詠んだ和歌を紹介します。

花鳥の あかぬ別れに 春暮れて 今朝よりむかふ 夏山の色
(玉葉集・夏・293)

「花や鳥との満足しない別れのうちに春が過ぎ去り、今朝から向き合っているのだ、夏の山の色に」というのが大まかな解釈になります。この和歌には詞書(和歌の題や詠まれた状況などを説明するために、和歌の前に書かれる文章)に、「首夏の心をよみ侍りける」とあります。「首夏」とは、旧暦四月のことを指し、大体現在の4月下旬から6月上旬ごろに当たります。ちょうど今ぐらいの時期ですね。作者は鎌倉時代後期の歌人、西園寺実兼です。

 初句に「花」「鳥」とありますが、みなさんはどんな花や鳥を想像しましたか?古文の世界では、季節にもよりますが「花」は大抵「桜」のことを示します。今回の和歌においても、春の「花」「鳥」との別れを詠んでいるので、「花」は「桜」、「鳥」は「うぐいす」あたりを示していると考えられます。これらのいかにも「春」な情景に対して、「夏山」から連想される青々とした木々。鮮やかな色彩の対比が目に浮かんでくる、気持ちの良い歌です。

 この和歌の文法的ポイントは「あかぬ」
カ行四段活用の動詞「あく」の未然形+打消の助動詞「ず」の連体形といった構造です。「あく」は、「十分満足する」という意味です。現代語の「あきる」の元になる語ですので混同しやすいですが、「あきる」は近代以降にできた語で、活用は上一段活用です。このイメージに引っ張られて「あく」を上二段活用と勘違いしてしまう人が多いので注意しましょう。「あく」以外に、上二段活用と間違えやすい四段活用の動詞は「足る」「借る」があります。まとめて四段活用として覚えておきましょう。

 ゴールデンウィークも終わり、あっという間に1学期中間考査の時期がやってきました。新学年最初の定期テスト、良いスタートダッシュができるように、万全の準備をして臨みましょう。

 Hiraki


by kyosyo-hiraki | 2018-05-09 10:00 | 和歌