個別進学塾教匠平木のブログです

by kyosyo-hiraki

今週の和歌「韓衣裾に取り付き泣く子らを置きてぞ来ぬや母なしにして」

 こんにちは、個別進学塾教匠講師の平木です。今回は、次の和歌を紹介しようと思います。

 韓衣 裾に取り付き 泣く子らを 置きてぞ来ぬや 母なしにして
(万葉集・巻20)

 「服の裾に取り付いて泣いている子どもたちを置いてきてしまったなぁ。母もいないのに。」といった意味です。この和歌は、万葉集に収録されている「防人歌」の一首です。

 663年、朝鮮半島で行われた白村江の戦いで唐・新羅連合軍に敗れた日本は、彼らの攻撃を恐れ、北九州に砦などを築きました。そのときに配置された防備の兵を「防人」といいます。

 防人は税制の一種で、主に東国(現在の関東地方あたり)の農民が徴兵されました。現在と違って、九州への道のりはとても険しく、生きて帰ってくる保証もありません。そのうえ、九州までの移動や、任地での食事や武器調達もすべて自力で行わないといけないという非常に厳しいものでした。

 そんな彼らが詠んだ防人歌は、家族や恋人に対する気持ちがストレートに表現されたものが多く、今回の和歌も子どもへの愛情が率直に描かれています。妻に先立たれ、男手ひとつで子どもたちを育ててきたのに、防人として旅立たざるをえなくなった男の辛い気持ちが痛いほど伝わってきます。

 この和歌の文法的ポイントは、「韓衣
枕詞」といって、特定の語を導き出す前置きの語のひとつです。「韓衣」は衣服に関わる言葉を導き出す役割を持っており、今回だと「裾」の前置きとして使われています。

 4月ももう終わりですね。新しい環境にもそろそろ慣れてきたころだと思います。来月には中間考査も控えており、勉強も忙しくなってきますね。新年度最初の定期テスト、スタートダッシュが肝心です。頑張っていきましょう!

 Hiraki


by kyosyo-hiraki | 2016-05-10 10:00 | 和歌